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が、優先する方向が変化 してきている可能性がある。 実際に、パンデミック以降に、住宅購入検討者等を対象 に実施された実務上の意向調査 10),11),12) では、こうした住宅 選好の変化が報告されている。また、地方都市が対象では あるものの、2019 年から 2020 年にかけて、人口動態や居 住意向の観点から郊外化が進行しつつある可能性も指摘さ れている(坪井ほか, 2021) 13) 。パンデミックによる住宅市 場動向の変化については、第一波前後の資料請求情報を用 いた鈴木ほか(2021) 14) が、立地・広さ、自然環境に関する 新たな住宅需要が生じている可能性を指摘しており、意向 調査から捉えられる傾向と概ね整合的な結果となっていた。 しかしながら、米国等において住宅市場データを用いて郊 外化の進展が示唆されている(Liu and Su, 2021) 15) のとは異 なり、日本では実際の取引データに基づいて住宅市場構造 の変化を検証する動きは十分とは言い難く (北爪, 2021) 16) 、 実務上の指数群が公表されるにとどまる(宗, 2021) 17) 。 これまで東京圏郊外では、高齢化の進行や住宅需要の低 下が顕在化してきていたが、パンデミックによる住宅選好 の変化は、地域の中核機能や自然環境・オープンスペース の豊かさ等の要素によって郊外の中での地域的差異を明瞭 なものとする可能性を秘めている。さらに、通勤圏外での 住宅需要の増加は、二地域居住等を通して、空き家等の流 通・管理を促す可能性を秘めている。このように、パンデ ミックによる住宅選好の変化は、都市計画・住宅政策上の 大きな転換点となりうる一方で、現実には特定の地域・物 件タイプにおける意向の変化にとどまる可能性もある。も し東京圏で広く住宅取引として顕在化しつつあれば、新た な都市構造へ長期的に変化していく蓋然性が高いものと考 えられる。 本稿では、既存住宅取引量という新しい指標に着目し、 東京圏において 2020 年 11 月末までの期間に生じた既存住 宅取引傾向の変化を捉えることを目的とする。とりわけ、 パンデミック初期に示唆されていた立地・広さ、自然環境 に関する新たな需要が、住宅取引としても顕在化している かの検証を試みる。住宅市場での需給バランスを表す価格 や市場滞留期間(鈴木・浅見, 2017) 18) に比べ、取引量は既 存住宅の売買のボリュームを直接的に捉えられる。既存住 宅が市場に出されるのは相続時等の比重が大きく、また、 新築住宅のようにマンション一棟や分譲戸建住宅地の販売 COVID-19 パンデミックによる既存住宅取引量の傾向変化 -東京圏における所有権移転登記データを用いた分析 -Changing trends in the transaction volume of existing houses during the COVID-19 pandemic -Analysis of ownership transfer registration data in the Tokyo metropolitan area -

Using a linear mixed model and geographically weighted regression, we analyzed changes in the relationship between regional population change and land use or accessibility indicators under the COVID-19 pandemic. The results showed that population concentration in the city center was eased in 2020 and 2021, and that migration and settlement in existing residential areas increased temporarily, especially in 2020. In addition, the closer the area was to the nearest station, the more the population still increased, and access to commodity shopping facilities became less attractive.

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