“…緊張性気腹は高圧の腹腔内遊離ガスにより静脈還流の低下や換気量の低下を来し,循環不全や呼吸不全を呈する病態である 1)。画像所見上,X線写真における横隔膜の挙上や,CTにおける大量の腹腔内遊離ガス,下大静脈の圧排が特徴的である 8)。医学中央雑誌で「緊張性気腹」をキーワードに検索したところ,2012年から2019年までの8年間で5件の報告 2), 3), 4), 5), 6)があった。また,PubMedで「Tension Pneumoperitoneum」をキーワードに検索したところ,2018年から2020年の3年間で11件の成人例の報告 7), 9), 10), 11), 12), 13), 14), 15), 16), 17), 18)があった(Table 2)。緊張性気腹の原因としては消化管内視鏡が6例 4), 5), 9), 10), 11), 12)と多く,経気管ジェット換気が2例 2), 6),気管支鏡処置が2例 13), 14),心肺蘇生処置に伴うものが2例 15), 16),圧縮空気の誤用が1例 6),手術が1例 17),内因性の消化管穿孔が1例 7),原因不明が1例 18)であった。…”