A case of meningococcal meningitis without pleocytosis at early cerebrospinal fluid examination

Abstract

J Jpn Soc Intensive Care Med 2018;25:399-400. はじめに 細菌性髄膜炎は死亡率が約 20％の致死的な感染症 であり，早急な介入を必要とする 1) 。髄液検査におけ る細胞数増多や髄液糖の減少が早期診断につながる。 今回，症状発症から 24 時間以上経過し，初回髄液検査 にて細胞数増多を認めなかったが，意識レベルの低下 を認め，翌日に髄液培養から Neisseria meningitidis を 検出し，細菌性髄膜炎と診断した症例を経験したので 報告する。 症 例 症例：15 歳，男性。 現病歴：入院 2 日前より 39℃の発熱，頭痛，関節痛 にて救急外来を受診，ウイルス感染と診断され帰宅と なった。その後も発熱，頭痛が持続し，翌々日 (day 1) に救急外来を再受診した。受診 1 時間後の髄液検査で は初圧のみ高値でその他異常所見を認めなかったが， 頭部 MRI 検査後 (受診 3 時間後) に意識レベルの悪化 (GCS E4V5M6 → E2V2M5) を認め，脳炎，髄膜炎を 考慮し，症状出現直後に抗菌薬，抗ウイルス薬による 加療を救急外来にて開始し，受診 3 時間半後に ICU 入 室とした。 既往歴，内服歴，海外渡航歴なし。 生活歴：高等学校の寮で集団生活， 同様の症状はなし。 入院時 (day 1) 身体所見：GCS E2V2M5，血圧 91/46 mmHg，心拍数 113 /min，呼吸数 34 /min，SpO2 96％ (room air) ，体温 39.2℃。項部硬直なし，皮疹なし， 他胸腹部特記所見なし。 Day 1 外来受診時検査所見：WBC 13,000 /μl，Plt 10.2×10 4 /μl，CRP 14.5 mg/dl，血糖 119 mg/dl 。 Influenza 抗原 A・B 陰性，尿中肺炎球菌抗原陰性。 血液培養結果：Neisseria meningitidis (day 4 に検 出) 。 髄 液 検 査： 外 観 は 水 様 透 明，細 胞 数 5/3，糖 67 mg/dl，蛋白 21 mg/dl，初圧 33 cmH2O，グラム染色 陰性。 入院後経過：Day 1 に髄膜炎，脳炎を想定し救急外 来にて意識レベル悪化直後に ceftriaxone 4 g/day， acyclovir 2,250 mg/day の投与を開始し，入院後に minocycline 200 mg/day，azithromycin 500 mg/day の投与を行った。Day 2 に意識レベルの改善は認めら れなかったが，day 1 の髄液培養より Neisseria. sp が 報告され，2 度目の髄液検査を施行し，以下の結果を 得た。 髄液検査所見：外観は白色混濁，細胞数 9,168/3 (多 核球 99％，単核球 1％) ，糖 49 mg/dl，蛋白 97 mg/dl， 初圧 35 cmH2O，グラム染色にてグラム陽性双球菌。 髄膜炎菌性髄膜炎の可能性が高いと判断し，治療薬 は ceftriaxone 単剤に変更した。Day 3 に day 1 の髄液 入院時髄液検査にて細胞数増多を認めなかった髄膜炎菌性髄 膜炎の 1 例 和田 亨 † 小尾口邦彦 福井 道彦 蒲池 正顕 加藤 之紀 宮﨑 勇輔 大手 裕之 小田 裕太