ECMO管理を要した重症COVID–19市中肺炎に対して腹臥位療法やステロイドの全身投与により軽快した2例(Two cases of severe coronavirus disease 2019 community–acquired pneumonia successfully treated with extracorporeal membrane oxygenation and prone positioning and systemic corticosteroid therapy)

Abstract

要旨1例目は58歳の男性。他院で診断された感染源不明のCOVID–19市中肺炎として発熱8日目に当院に来院した。高熱とともに第2病日に呼吸状態が急激に悪化し，気管挿管，体外式膜型人工肺（extracorporeal membrane oxygenation: ECMO）導入となった。入院日からファビピラビル投与も改善に乏しく，第5病日より腹臥位療法とメチルプレドニゾロン60mg/dayの投与を開始した。第9病日にECMO離脱，第11病日に抜管，第27病日に独歩退院となった。2例目は44歳の男性。発熱13日目に呼吸苦を主訴に当院に救急搬送され気管挿管，同日COVID–19肺炎の診断となった。入院後も高熱が持続し呼吸状態も増悪，第4病日にECMO導入，入院日からのファビピラビル投与も改善に乏しく，第4病日よりメチルプレドニゾロン60mg/dayの投与，第5病日より腹臥位療法を開始した。第12病日にECMO離脱，第15病日に抜管，第30病日に独歩退院となった。COVID–19肺炎の重症化には過剰な炎症が関与しており，適切な人工呼吸やECMO管理に加え，ステロイドの全身投与が有効な症例が存在する。