“…,地球上で最も溶存 酸素濃度が高い水域の一つ(粕渕, 2010)とも言われて いる。溶存酸素が日周変化するのは,湛水層に生息 するシアノバクテリアや藻類の光合成および呼吸に よると考えられる (Saito and Watanabe, 1978;伊藤・ 増島, 1980, 1984Ito, 1987;Mowjood and Kasubuchi, 1998a, 1998bKishida et al, 2001;Usui and Kasubuchi, 2011;臼井・粕渕, 2013 Mikkelsen et al, 1978)。Mikkelsen et al(1978は太陽 放射のもと,浅い湛水中では,そこに生息している 水生生物の作用により pH が 9.5 から 10 と高い値へ と上昇することでアンモニアの揮散が生じることを 報告している。土壌 pH のみならず,湛水の pH の測 定には,肥培管理の指標として重要な側面があり, 水田湛水の pH の挙動を知ることは,作物の栽培管 理の上でも重要な役割があると考えられる(臼井・粕 渕 2013)。このほか,水田湛水中における高 pH に ついては多くの報告がなされており (Mikkelsen et al, 1978;伊藤・増島, 1980, 1984Ito, 1987;Kishida et al, 2001;Usui et al, 2003;Usui and Kasubuchi, 2011; 臼 井・粕渕, 2013),高 pH となった湛水層が,湛水層近 傍の大気中 CO2 を吸収していることも明らかとなっ ている (Usui et al, 2003) Kasubuchi, 1998a, 1998b Kasubuchi, 1998a, 2002)ことから,水田における温室効果ガスの湛水層 を介しての挙動に対して対流がどのように関わって くるのかを検討することが期待される。 また,湖沼において水の対流は生態系を維持する 上で重要と認識されている (Horne and Goldman, 1994;花里, 1998;奥宮ら, 2001 …”