また pH,電気伝導度 (EC) ,酸化還元電位 (ORP) ,水温や Na + , K + ,Ca 2+ ,Mg 2+ ,Cl-,HCO 3-,SO 4 2-といった主要陽・陰イオン 濃度は,水質の基礎的かつ重要な項目であり,坑内水起源の検討 において不可欠なデータである。このような安定同位体や主要溶 存イオンを用いた地化学的手法により,各種鉱山の坑内水や地下 水を研究した事例は多い。例えば,スカルン鉱床の岩手県釜石鉱 山 4) や堆積性ウラン鉱床の岐阜県東濃鉱山 5) ,硫黄鉱床の岩手 県松尾鉱山 6) ,北海道太平洋炭鉱 7) ,塊状硫化物鉱床のカナダ Bathurst Mining Camp 8) の ほ か, 熱 水 性 鉱 脈 鉱 床 の 米 国 Mary Murphy Mine 9) などでは坑内水や近傍地表水の地化学的研究がな されている。また,韓国 Samkwang Mine では,坑内水中に含ま れる主要陽・陰イオン濃度の統計量解析により坑内水の水質形成 機構が推定されている 10) 。