2022
DOI: 10.3130/aije.87.241
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Psychological and Physiological Effects of Biophilia Through Urban Office Building Windows

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“…1.1 研究背景 自然との接触による人間の健康性やウェルビーイングの向上効果 1-3) や、生理的なストレスや精神的な疲労の軽減効果 4) が既往研究に より認められている。近年では、都市での生活による気分障害や不 安障害の増加が指摘されており 5) 、その要因の一つとして自然との 接触の不足が関係している可能性がある。建築分野でも利用者の健 康性への関心の高まりの中で、植物や昼光などの自然の要素を建築 環境に導入するバイオフィリックデザイン [6][7][8][9] が注目を集めている。 WELL 10) 、LEED 11) 、CASBEE Wellness Office 12) などの建築環境認 証制度にも自然へのアクセスに関連した評価項目が設けられており、 建築環境に自然を組み込む事例は今後も多く計画されると考えられ る。 したがって、 個々の建築の敷地や用途などの文脈を考慮しつつ、 建築環境へ自然の要素を効果的に計画する手法に関する知見が求め られる。 外部に自然が少ない都市部の建築の室内オフィス空間では、窓か らの昼光と空への眺望や、鉢やプランターを用いた屋内緑化、内装 への自然素材の利用などが自然との接触の方法として考えられる。 窓からの眺望の効果は広範に研究されており、特に窓を介した自然 への眺望による生理的ストレスの軽減 [13][14][15] やウェルビーイングの向 上 16,17) 、環境満足度や認知機能の改善 18) などが報告されている。屋 内植物が在室者に与える効果についても研究例は多く、実際のオフ ィスでのアンケート調査や介入実験により、屋内緑化による執務者 の主観的な生産性 19,20) 、ウェルビーイング 19) 、主観的な集中力と職 場への満足度 20) の向上や、 視覚疲労や自覚症状の緩和 21) 22,23) や、Reading span test で測定した注意力の改善 24) などが報告されている。 一方で、室内での植物の配置方法の違いが在室者に与える効果に 関する研究は少ない。橋本ら 25,26) は模擬執務空間で緑視率を段階的 に変えた際の心理・生理的効果を検証し、被験者の座席のレイアウ トにより緑視率の影響が変わる可能性 25) や、3.1%の緑視率で心理・ 生理的効果が最大になる 26) ことを報告した。 長谷川ら 27) は窓にカー テンを引いた会議室で実験を行い、植物の大きさごとにその印象が 向上する被験者との距離が異なることを報告した。しかし、これら の実験はいずれも、窓の有無など植物を設置する空間の特徴による 影響は分析していない。また、窓と屋内植物のような複数の自然要 素への曝露の効果を検証した研究例も限られており 28,29) Soma SUGANO, Miku TAZAKI, Mayumi OHBA, Shusuke TAKAHASHI, and Shin-ichi TANABE…”
unclassified
“…1.1 研究背景 自然との接触による人間の健康性やウェルビーイングの向上効果 1-3) や、生理的なストレスや精神的な疲労の軽減効果 4) が既往研究に より認められている。近年では、都市での生活による気分障害や不 安障害の増加が指摘されており 5) 、その要因の一つとして自然との 接触の不足が関係している可能性がある。建築分野でも利用者の健 康性への関心の高まりの中で、植物や昼光などの自然の要素を建築 環境に導入するバイオフィリックデザイン [6][7][8][9] が注目を集めている。 WELL 10) 、LEED 11) 、CASBEE Wellness Office 12) などの建築環境認 証制度にも自然へのアクセスに関連した評価項目が設けられており、 建築環境に自然を組み込む事例は今後も多く計画されると考えられ る。 したがって、 個々の建築の敷地や用途などの文脈を考慮しつつ、 建築環境へ自然の要素を効果的に計画する手法に関する知見が求め られる。 外部に自然が少ない都市部の建築の室内オフィス空間では、窓か らの昼光と空への眺望や、鉢やプランターを用いた屋内緑化、内装 への自然素材の利用などが自然との接触の方法として考えられる。 窓からの眺望の効果は広範に研究されており、特に窓を介した自然 への眺望による生理的ストレスの軽減 [13][14][15] やウェルビーイングの向 上 16,17) 、環境満足度や認知機能の改善 18) などが報告されている。屋 内植物が在室者に与える効果についても研究例は多く、実際のオフ ィスでのアンケート調査や介入実験により、屋内緑化による執務者 の主観的な生産性 19,20) 、ウェルビーイング 19) 、主観的な集中力と職 場への満足度 20) の向上や、 視覚疲労や自覚症状の緩和 21) 22,23) や、Reading span test で測定した注意力の改善 24) などが報告されている。 一方で、室内での植物の配置方法の違いが在室者に与える効果に 関する研究は少ない。橋本ら 25,26) は模擬執務空間で緑視率を段階的 に変えた際の心理・生理的効果を検証し、被験者の座席のレイアウ トにより緑視率の影響が変わる可能性 25) や、3.1%の緑視率で心理・ 生理的効果が最大になる 26) ことを報告した。 長谷川ら 27) は窓にカー テンを引いた会議室で実験を行い、植物の大きさごとにその印象が 向上する被験者との距離が異なることを報告した。しかし、これら の実験はいずれも、窓の有無など植物を設置する空間の特徴による 影響は分析していない。また、窓と屋内植物のような複数の自然要 素への曝露の効果を検証した研究例も限られており 28,29) Soma SUGANO, Miku TAZAKI, Mayumi OHBA, Shusuke TAKAHASHI, and Shin-ichi TANABE…”
unclassified