要旨 総頸動脈仮性動脈瘤(common carotid artery pseudoaneurysm: CCAPa)破裂は,巨大血腫を形成し,気道閉塞となる。我々は,気道緊急に陥ったCCAPa破裂例に対して,初期治療後,血管内治療を行ったので報告する。症例は65歳の男性。突然頸部が腫脹し,気道狭窄のため当院搬送となった。SpO2 60%(BVM換気,酸素10L/min),ショックを呈していた。頸部正中は偏位し,喉頭鏡で声門は視認できなかった。超音波ガイド下で気管切開を行い,急速輸液で循環を維持した。安定化処置後の3DCTAでは,左CCAに3.5cm大の巨大仮性動脈瘤と血腫を認めた。 血管撮影では,CCAPaからextravasationを認めたため,左CCAで遮断テストを行い,側副血行路を確認後,コイルによるCCA閉塞を行った。第4病日,頸動脈エコーで,CCAの血流再開を認め,再塞栓術を行い,以後再開通はなかった。第7病日,呼吸器から離脱,離床が可能となった。超急性期に,血管内治療でCCAを閉塞し,脳循環維持も可能であった。脳循環維持につながる迅速な安定化治療と低侵襲の血管内治療の組み合わせは,超急性期治療の1つとなりうる。