繰り返し実施したfinger testが陰性であったものの，筋膜の組織検査を追加することで診断することができた壊死性筋膜炎の1例(A case of necrotizing fasciitis diagnosed by histopathological examination of fascia after repeated negative finger tests)

Abstract

要旨 壊死性筋膜炎の診断法の一つとして，病変の皮膚を切開し，筋膜を触診し壊死を確認するfinger testがあり，比較的高い感度であることが報告されている。今回我々は，69歳男性，糖尿病，末期腎不全，ステロイド内服歴のある患者に生じた右下腿の壊死性筋膜炎の症例を経験した。初日に行ったfinger testは陰性であった。第3病日に病態が悪化した際に再度finger testを行ったが陰性であった。2回目のfinger testの際に筋膜の組織検査を追加したところ，筋膜結合組織内の好中球浸潤を認めた。この結果をもって壊死性筋膜炎と確定診断し，緊急手術を行う方針となった。finger testが陰性であっても臨床的に壊死性筋膜炎が疑わしい症例であれば，finger testの際に筋膜組織の病理学的検査を追加することで確定診断につながる可能性がある。