遅発性に低血圧とQT延長が生じたグアンファシン中毒の1例(Delayed hypotension and prolonged QT interval due to guanfacine poisoning)
井上 史也,
岡崎 悠治,
市場 稔久
et al.
Abstract:要旨注意欠如多動性障害の17歳の女性が人間関係のトラブルを契機にグアンファシン3mg錠を50錠自ら過量服薬し来院した。来院時,低血圧はなかったが,傾眠,脈拍低下があり経過観察入院となった。入院翌日,歩行可能な状態となり自宅退院となったが,退院から2日後に自宅で失神し再度救急外来を受診した。脈拍低下,低血圧に加えて,心電図検査でQT延長があり再入院となった。過量服薬から7日後に徐脈およびQT延長は改善し自宅退院となった。グアンファシンは主に脳内のα2A受容体に作用し交感神経系の活動を低下させることで鎮静作用,脈拍低下・降圧作 用をもたらす。グアンファシンの半減期は比較的長く,本例のように過量服薬時は傾眠,徐脈,低血圧が長期間遷延することがある。またグアンファシン内服初期は末梢血管平滑筋のα受容体を刺激することで高血圧を引き起こし,続いて中枢神経系への作用による低血圧が起こるという二峰性の血圧変動を来すことがあり,とくに低血圧に関しては遅発性に出現する可能性がある。本例において遅発性にQT延長を起こした原因は,3.4mg/kgと相当量の過量服薬をしていたことが一因と考えられる。グアファジンの過量服薬時は,遅発性に出現しう… Show more
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