In order to ascer tain the quality and microbiological risk of meat cooked with the vacuumpack cooking method (sous-vide), we simulated the thermal denaturation of meat protein and the bacterial survival changes (Escherichia coli O157:H7) and performed unsteady-state 3D heat transfer analysis using the finite element method during sous-vide cooking. To simulate the denaturation processes, we used the kinetics parameters for the thermal denaturation of intact beef using the differential scanning calorimetry (DSC) dynamic method. The results of the simulation showed the characteristics of the sous-vide cooking of roast beef to be as follows. The denaturation of myosin was completed throughout the meat sample. Actin was hardly denatured inside the meat, although denaturation was completed at the surface region. This characteristic denaturation profile formed in the cooked meat has produced a high-quality meat product and various benefits using the sousvide method. In contrast, the prediction of the bacterial sur vival changes revealed that there was little sterilizing effect at the meat core because of the low temperature heat treatment of the sous-vide cooking. That is, it is important that fresh food material be used, and maintaining the optimal cooking temperature and strict sanitary control in the sous-vide cooking was highly recommended.
緒 言
真 空 調 理(sous-vide) は,1974 年 フ ラ ン ス のGeorges Pralus により考案された調理法であり [1], 食材を真空パック専用袋に入れて脱気・密封し, 恒 温湯槽やスチームコンベクションオーブンで食材に適 した温度下で加熱を行う,という つの基本的な操作 から成り立つ [].この調理法は食材の歩留まりが高い [3,4],畜肉料理では柔らかく仕上がる [3,4],ビタミン 類の破壊が少ない [,5], 集中大量調理が可能 [6] といっ た調理上の利点や,真空包装による二次汚染の予防お よび貯蔵・運搬性の向上といった,集中調理システム での管理上の利点が挙げられ,現在,レストランやホ テル,病院やセントラルキッチンを有する施設で幅広 く普及している. 真空調理法は食材の品質保持のため,加熱処理温度 と時間の管理(TT 管理)が重要となる [].そのため 食材や料理内容に応じた適切な加熱処理温度が推奨さ れており,畜肉や魚といったタンパク質を主成分とす る食品をしっとり仕上げる場合は芯温を 70℃以下,野 菜ではセルロース軟化温度と水分の気化温度を考慮し, 90~95℃で加熱処理を行う [].現在日本では,真空調 理を考案した Georges Pralus の「プラリュ方式」と, 日本で真空低温調理を提案および普及させた谷孝之の 「谷方式」が存在する [7].谷方式は,目標とする食材石渡奈緒美,福岡美香,為後彰宏,酒井 昇 0 の芯温とオーブン等加熱機器の設定温度を等しくして, 加熱を行う方法であるため,過加熱を防ぐことが可能 である.これに対しプラリュ方式は,目標とする芯温 に対して調理温度を高く設定することが多いため,谷 方式と比較して調理時間は短縮されるが,指標とする 食材の中心温度を,常に監視する必要がある.また, 芯温が目標温度を逸脱する可能性が高くなるとともに, 伝熱が先行する食材表面では過加熱となる領域が形成 される.このように つの調理法はそれぞれメリット・ デメリットを併せもつが,共通事項として「衛生管理 の徹底」が挙げられる.真空調理は食材の品質保持の ため,前述したように畜肉の場合,しっとり仕上げる ために芯温 70℃以下の温度により加熱処理する場合が 多い [].しかしこの温度帯で調理を行った場合,食材 の芯温は 75℃に到達しないため,中心領域では十分な 加熱殺菌効果は期待できない.そのため,既存する微 生物が少ない新鮮な食材を選定する必要がある.また 微生物を増殖させないため,食材を保存する場合は冷 却器(ブラスト・チラー,恒温湯漕など)または氷水 を用い,微生物が増殖しやすい温度である 10~55℃を 素早く通過させること,加熱工程後の冷却開始から 90 分以内に食材の芯温を 3℃以下に到達させること, 貯蔵・ 流通時は 3℃以下で保存することを徹底している [8]. 貯蔵における微生物挙動を科学的に検証した例とし て,Niath[9] は真空調理した畜肉製品を 5 週間貯蔵し た場合,3℃で貯蔵した製品では微生物は増殖せず,官 能評価においても受容できたのに対し,8℃貯蔵では一 部 の 製 品 で 10 6 CFU/g 以 上 増 殖 し た と 報 告 し て い る. この他にも,真空調理製品を様々な温度下で貯蔵した 時の微生物増殖数の実測データから,真空調理製品の 貯蔵・流通温度や衛生管理が重要であることが報告さ れている [10,11].一方,貯蔵中に増殖する微生物数は 調理終了時の生菌数に依存するが,真空調理では前述 したように発想を異にする加熱処理方法が存在するた め,調理終了時の生菌数も調理法により異なることが 予想される.さらに,微生物挙動とともに調理製品の テクスチャや旨味といった品質に影響を及ぼすタンパ ク質の加熱変性度 [1,13] もレシピによって異なること が予想されるにも関わらず,これまで実際の調理レシ ピを対象として加熱調理における菌数減少やタ...
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