“…A. Klein et al, , 2018R. A. Klein et al, , 2019 (Baumeister et al, 1998;Muraven et al, 1998) Jüngerらは、⽣理周期によって⼥性の異性への好みが変化すると⾔う仮説 (Gangestad et al, 2005) を、事前登録した調査によって検証した (Jünger et al, 2018) 。この調査は157名 の⼥性を2回の⽣理周期の間に渡って追跡調査するもので、その間に複数回の実験室実験や ホルモン測定を⾏うという、意欲的な計画であった。その結果は、仮説から予測される⽣理 周期と男性性(masculinity)への好みの交互作⽤効果は⾒られないというものであった。 否定的な結論に対して、仮説の提唱者であるGangestadらが反論コメントを出版した (Gangestad et al, 2019) (⼩塩真司 et al, 2012) 。しかしLikert法では研究者の質問の意図が伝わらない社会が存在する (Hruschka, Munira, et al, 2018;Sayanagi et al, 2021) 。⾔い⽅を変えれば、Likert法の 意味が了解可能な⼈たちだけを対象として多くの⼼理学研究は⾏われており、その結果は、 Likert法が使えない⼈々には⼀般化不可能かも知れない。実際、Hruschkaらはバングラデ シュでの調査において、様々に⼯夫してようやく適切と考えられる測定法を⾒つけたもの の、得られた結果は予測を⽀持しないものであったことを報告している (Hruschka,23 Iʼm not suggesting that most statistical inferences in psychology are invalidated by researchersʼ failure to explicitly model what their participants ate for breakfast three days prior to participating in a study. Munira, et al, 2018) (Arnett, 2008;Henrich et al, 2010aHenrich et al, , 2010b) 。WEIRD問題が指摘さ れてから10年が経っているが未だ状況に⼤きな改善はなく、⼼理学研究のサンプルは欧⽶ 圏に⼤きく偏っている (Barrett, 2020;Clancy & Davis, 2019;Hruschka, Medin, et al, 2018;Rad et al, 2018;Thalmayer et al, 2021) 。そして⽶国⼈サンプルを⽤いた⼼理学 論⽂はタイトルにサンプルの属性を明⽰しない傾向がある (Cheon et al, 2020;Kahalon et al, 2021) 。つまり偏ったサンプルから得られた研究結果にも関わらず、それが⼈類に普遍 的な⼼理を明らかにしたかのような論⽂タイトルが⽤いられている。1990年代からの⽂化 ⼼理学の興隆 (Markus & Kitayama, 1991;Nisbett, 2004;Nisbett et al, 2001) や、⾮欧⽶ 圏サンプルの研究ではサンプル属性が明⽰される傾向があることを踏まえれば (Cheon et al, 2020;Kahalon et al, 2021) (Eronen & Bringmann, 2021;Fried, 2020;Irvine, 2021;Maatman, 2021;…”