“…一方で,上肢が不自由な児童生徒や重い知 的障害を持つ児童生徒,通常学校の低学年の児童 が,紙の上に印字されたドットコードを真っ直ぐ になぞることができず,クラスメイトと同じ活動 に参加できず,寂しい思いをする事態に直面した. こうした事態を受け,著者は,平成 22 年度の科 学研究費補助金基盤研究 (C) において, (人の助け を借りずに)自らの力でクラスメイトと同じ活動 に参加できるように,ベンチャー企業(グリッドマ ーク株式会社と株式会社アポロジャパン)と協働 で,「紙の上のドットコードに触れるだけで音声が 再生される」新しいドットコード技術を用いて,教 材の開発・教育実践に取り組んだ.最近では,国内 外の共同研究者と共に,一つのドットコードに複 数の音声や動画などをリンクできるグリッドマー ク株式会社の優れたドットコード技術 [12] を活用 し,一人ひとりの困り感に対応した教材を開発し, 特別支援学校や通常学校で教育実践を行っている. [13][14][15][16][17][18][19][20][21][22][23] 今年度は,これまで著者が培ってきた共同研究 のネットワークに加えて,国立特別支援教育総合 研究所主催の特別支援教育教材・支援機器等展示 会における教材の展示や障害児基礎教育研究会の 講演などで大きく広がったネットワークを活用し て,教材の開発と教育実践に取り組んだ.教材の 開発には, (1) マルチメディアをリンクできるドッ トコード, (2) テキストをハイライトしながら同期 をとって読み上げを行う EPUB3 [24][25][26][27] 対応の電 子書籍とオーサリング機能を有する電子書籍,(3) 紙の上の画像などに動画などのマルチメディアを リンクし,スマートフォンやタブレットで鑑賞す る Augmented Reality (AR) [28,29] の技術を用いた. テキストをハイライトしながら同期をとって読 み上げを行う電子書籍は,iPad や iPhone などで 閲覧・音読することができ,読みに困難を抱える 児童の構音や音読活動を支援するものとして期待 されている.これまで,EPUB3対応の電子書籍を 制作するソフトウエアや音読を行うリーダーが少 なかったこともあり,日本の教育現場では手作り の EPUB3 対応の電子書籍はほとんど制作されて いない. (フューズネットワーク社のホームページ の「導入事例」の最初の例として,著者の一人で ある生田の実践事例が掲載されている. [30] <par id="par1"> <text scr="page_1.xhtml#W1" /> <audio src="audio/1-1-015.mp3" clipBein="0.0s" clipEnd="3.07s" /> </par>…”