Branchiostegus japonicus およびホッコクアカエビ(一般名アマエビ) Pandalus eous を有効利用するために,これら無晒しす り身の水産練り製品原料適性を明らかにするとともに, その改善を試みた。 4,5) また三陸を中心に水揚げされ,水 産加工利用が難しいツノナシオキアミ Euphausia paciˆca について,練り製品原料として利用するためにゲル 形成に必須の筋原線維タンパク質の塩溶性に着目し,新 たな回収法を確立すると同時に,回収行程における内在 性プロテアーゼによるタンパク質分解の影響を明らかに した。 6,7) さらにこれまではタンパク質分解とその品質の関係に ついて検討がされてこなかった水産加工品であるイカ乾 燥品について,褐変による品質低下を防ぐことを目的 に,内在性プロテアーゼによるスルメイカのタンパク質 分解とメイラード反応の関係についても明らかにしてき たので, 8) これらの研究を概説する。 2. アカアマダイとホッコクアカエビのゲル形成能 アカアマダイおよびホッコクアカエビはそれぞれ我が 国において広く食用として利用されている。大型のアカ アマダイは日本料理の材料として高値で取引される一方 で,小型魚はその市場価値が大きく低下する。 9) また ホッコクアカエビも規格外サイズは市場価値が著しく低 下することから,全漁獲量の 15.9 が洋上投棄されて いるという報告がある。 10) 筆者らはサイズを問わず利用 できる点から練り製品原料として使用することで,これ らの有効利用につながるものと考え,まず通常の方法に より 3NaCl を添加し,加熱することで,そのゲル形 成能を検討した。 4,5) アカアマダイ筋肉に 3NaCl を添加後に擂潰し,30 90°C の各温度で 20 分もしくは 120 分加熱したところ, 30 80°C ではゲル化せず,90°C でのみ極めて脆弱なゲ ルを形成した。この結果により,本種筋肉は通常の製造 方法では,練り製品原料として利用できないことを明ら かにした。また一般的にゲル形成能の検討に用いられ る,破断強度を用いた温度 ゲル化曲線では,30 80°C の値が測定不能であったため,そのゲル形成メカニズム について十分に明らかにすることができなかった。そこ で,動的粘弾性測定により擂潰後の本種筋肉の加熱ゲル 化履歴(10 90°C)を検討したところ,ゲル形成の指標 として一般に用いられる貯蔵弾性率が 50 60°C で大き