要旨Dual–energy computed tomography(DECT)は2つの異なるエネルギーレベルのX線を用いる撮像装置で,様々な元素を識別できる。皮質骨や海面骨からカルシウムを識別・除去するvirtual non–calcium法を用いて,通常のCTでは診断困難な骨折に伴う骨髄浮腫や軟部組織損傷を診断できるが,本邦で救急搬送例に用いた報告は少ない。今回我々は,救急搬送された脊椎骨折3例をDECTで診断したので報告する。症例1は85歳の女性,L1の新鮮圧迫骨折,症例2は85歳の女性,自転車転倒によるL2の陳旧性骨折内の新鮮圧迫骨折,症例3は83歳の女性,自宅内での転倒によるS2の骨折で,いずれもDECTで骨髄浮腫を診断でき,MRIで確定した。高齢化社会が進むなか,救急外来におけるMRIが実施困難な骨折例への代替検査法としてDECTが一定の役割を果たすことが期待される。