V–A ECMO管理中にカニュレーション部位の血種形成に伴い送血管が血管内から逸脱したと推定された2例(Two cases considered to be the accidental removal of an arterial cannula caused by a subcutaneous hematoma around the cannulation site during veno–arterial extracorporeal membrane oxygenation)

Abstract

要旨Veno–arterial extracorporeal membrane oxygenation（V–A ECMO）症例においてカニューラ関連の合併症の頻度は少なくない。我々はV–A ECMOを装着中にカニューラ関連の出血性合併症により心静止に至ったが救命できた2症例を経験したので報告する。症例1は難治性心室細動の47歳男性で，症例2は心原性および敗血症性ショックに伴う循環不全が進行した感染性心内膜炎の38歳女性。2症例ともV–A ECMOを装着中に送血管刺入部の腫脹と出血を生じた後，急速にV–A ECMOが維持できなくなり波形上心静止となった。送血管の血管内からの逸脱と考え，別ルートによるV–A ECMOの再確立後に腫脹側の動脈修復術を施行した。症例1は外腸骨動脈修復術のみで出血制御できたが，症例2は子宮動脈仮性瘤からの出血を伴っており，同部の経カテーテル的塞栓術を要した。送血管刺入部位の出血，腫脹を伴う出血性合併症は致死的になる可能性があり，その早期認知と対応は重要である。