Abstract:要旨インフルエンザウイルス感染を契機に甲状腺クリーゼを発症した1例を経験したため報告する。症例は47歳の男性,既往は不詳であった。感冒症状を呈し,その半日後に異常行動を伴う意識障害を呈したため救急搬送された。来院時不穏を伴う意識障害と41.0℃の高体温を認め,簡易検査でインフルエンザウイルスA型感染と診断された。頭部CTで器質的所見がなく,インフルエンザ脳症が疑われたが,バセドウ病を疑う身体所見が見られたため,甲状腺関連検査を実施し,インフルエンザウイルス感染を契機に発症した甲状腺クリーゼと診断した。気管挿管し,鎮静したうえで抗甲状腺薬,ヨード,ステロイド,β遮断薬を投与し治療を行った。第2病日に意識は改善し,全身状態が安定していることを確認して,第8病日に抜管した。その後,甲状腺ホルモン値の再上昇,頻脈,体温上昇を認め,意識状態も悪化したが,炭酸リチウム,コレスチラミンを追加投与することで鎮静化し,第14病日に集中治療室を退室した。コントロール不良の甲状腺中毒症患者が,インフルエンザウイルス感染を契機に甲状腺クリーゼを発症することは想像しやすいが,甲状腺中毒症の診断を受けていない患者の場合には,診断にたどりつくこ… Show more
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