要旨Guillain–Barré 症候群(以下GBS)の先行イベントとして,感染やワクチン接種,外傷,手術などが報告されているが,本邦において,術後発症の報告はわずかしかない。今回,腰椎変性すべり症術後にGBSを発症した1例を経験したので報告する。症例は70歳代の女性で,腰椎変性すべり症に対して椎体間固定術を施行した。術後10日目より四肢脱力が出現し,術後15日目より急性呼吸不全による意識障害を来したため,人工呼吸管理を行った。意識障害改善後の神経学的評価では呼吸筋の低下,対称性四肢麻痺,下肢腱反射の低下を認めた。臨床経過,脳脊髄液検査の蛋白細胞解離所見,神経伝導検査での末梢神経障害所見,抗ガングリオシド抗体陽性所見よりGBSの診断に至った。ICU入室後2日目より隔日で血漿交換療法を計5回施行し,呼吸筋および四肢筋力は緩徐な回復を示した。ICU入室後37日目に人工呼吸器を離脱した。リハビリテーションを継続し,独歩可能な状態まで回復した。術後患者で進行性四肢麻痺や呼吸不全を呈する患者では,本疾患を念頭におき,早期治療介入を検討する必要がある。